その時気になった
ドラマ、小説、アニメ等の
創作小説を書いていくブログです。
や、ほんと初心者です。
皆さんの素晴らしブログの数々に
勉強させていただく毎日。
当然のことですが、upした作品は
公式の物とは全く関係ありません。
今後も生温かく見守って頂ければ幸いです。
30,000hitを踏んでいただいた千香様リクの「憂晶で『ただ貴方が』の後日談」です。
<続きを読む>からどうぞm(__)m
≪今はこの想いが全て彼女に伝わらなくてもいい。ただ、貴方の傍にいよう≫
あの時、確かにそう思った筈だったのに。
―――― 結局、俺はどこまでも欲深い人間らしい。
Yin & Yan
(憂×晶)
どこか夏を思わせる午後の風が部屋の中を吹き抜ける。
梅雨に入ったこの時期には珍しく空も蒼い。
(今日あたりはローズヒップをメインにしたハーブティーもいいかもしれないな)
ハイビスカスにローズピンクに少量の蜂蜜。
少しだけ酸味を抑えてあるブレンドは、最近の晶さんのお気に入りだ。
そんな事を考えていると、小さく扉が2回ノックされた。
――― 犬マンか。
「犬マンです、失礼します。あれ…憂夜さん、店長はどちらに?」
「どうした?店長ならなぎさママと買い物に行かれる予定で今は留守だが」
季節の変わり目にお客様にお出しするグラスを変更しようと話し合った時に、それなら飲食店を幾つも経営しているなぎさママにアイデアを、という話が出た。
二つ返事で快く受け入れてくれたママと一緒に今頃は色んな店を廻っている筈だ。
(……まぁ、それだけで済むとも思えないが)
店長だけならともかく、女性の買い物というのは兎角長い。
恐らく帰りは暗くなる前に迎えに出向く事になるだろう。
「あ…っと…それが、ですね…」
犬マンにしては歯切れが悪い。
どうやら俺にはあまり聞かせたくない類。それも店長絡み。
「……空也か」
「…………はい。いま丁度お電話が入っているんですが…」
「それで?空也は何と言っているんだ」
「いえ…そこまではまだ」
―――てっきり店長がいらっしゃるものだと思っていたので…。
そういう犬マンの顔は、いつもの微笑みの上に困り果てたというような苦笑いを浮かべている。
「…俺が代りに話を聞こう。話せる内容なら後で俺が店長に伝える」
「……いいんですか?」
他人にかかってきた電話を受けるのは本来なら避けるところだが……。
「…今回だけだ」
そう言ってドアを開ける後ろから小さくため息を吐く音がした。
*************************
「………待たせたな」
『おや、憂夜さん。御無沙汰しています』
「……何の用だ?」
『貴方に電話を代わってくれ、とお願いしたつもりは無いのですが……』
「店長なら今は留守だ」
『おや……残念です。折角美味しいイタリアンにご招待を、と思っていたのに』
ぬけぬけと言う。
第一、コイツは晶さんの携帯番号を知っている筈だ。
直接そちらにかけないということは、此方に牽制を仕掛けているつもりか、それとも…ただ此方の反応を楽しんでいるか。
―――両方か。
恐る恐る、と言った風に電話から少し離れて此方を窺うジョン太達は次第に険しくなっていくその場の空気に、更に距離を置こうと押し合いへし合いしている。
「空也、程々にしておけよ?店長も困っている」
前回届いた事を忘れかける絶妙のタイミングで届けられる様々な贈り物。
それは花束だったり、洋菓子だったり、入手困難な舞台のチケットだったり。
最初の内は、苦笑いで済ませていた晶さんや、滅多に口にしない高級菓子に舌鼓を打っていたホスト達も、絶えることのない贈り物の数々に戸惑いを隠せない。
『おや…僕は嫌われてしまいましたか?』
「そうは言っていない。ただ限度を考えろと言っている」
――― ねぇ、憂夜さん。空也の奴、一体何考えてるんだと思う?
窺う様に此方を見上げてくる晶さんの瞳が頭から離れない。
認めたくは無いが、確かに彼女の中に確かに存在し始めている空也の、影。
『 ”いい加減、態度をはっきりさせては”と申し上げた筈です。貴方にその気が無いのなら、俺は思う通りにさせて貰うだけですよ、憂夜さん?』
――― それでは失礼します。晶さんによろしくお伝えください。
そう言い置いて、電話はぷつりと切られた。
「…………」
握りしめた受話器が微かに音をたてる。
「憂夜さん……?」
「……あ…Are you OK?」
「ユウヤサン…ミケンニシワ、イッパイヨ」
振り返れば、ホスト達との距離は大分離れて、今はソファの後ろから頭だけを出して此方を覗きこんでいる。
――― 何をやっているんだ、アイツらは。
「店長を迎えに行ってくる」
受話器を戻すと、ジャケットを取りに戻ろうと階段を上がった。
その途端、フロア中に大声が響き渡る。
「ただいまっす~!!!近くで店長とばったり会ったんでお連れしました~!!!!……あれ?どうしたんですか?また何か事件っすか!?」
「吉男……」
『あの馬鹿!!』
「タイミング悪すぎだろ…」
「そりゃ、もう…吉男だから」
威勢よく開かれたドアの向こうには、空気を一切読まずにきょとんとしている吉男と、大きな紙袋を幾つも抱えた晶さんが佇んでいた。
後編へ続きます。
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